※このプレイ日記のパート6からパート8まではカワウソさんが製作しております。





分け入っても 分け入っても 青の山。

遠くに見える棚田が青空を吸い込み

夏の雲を写し出す。



『むっちゃ気分がえぇですわ。こういうところドライブしたら

最高ですね。

カワウソさん、佐賀って何が有名なんです?』



『アスパラ、ワラスボ、むつごろう、シシリアンライス、

吉野ヶ里公園、、、あ、冬の時期にバルーンフェスティバル

っていう気球の世界的な大会が開催されたりしますよ』



佐賀の話をしつつも 3人とも名物や観光は眼中にない。

目指すは決戦の舞台【佐賀競馬場】


我々は佐賀に行くのではない。

佐賀競馬場に行くのだ。










第2019弾





ロマンシングサガ


PartF





〜福岡オフ会ロマンシング佐・賀競馬〜

カワウソ編

第二章

  あの日 駆け抜けた馬の名前を僕たちは知らない。








『思ったより早く着きましたね』


お盆休み真っ只中のわりに大きな渋滞もなく、見慣れた

競馬場に着いた。





【見慣れた】といっても私は3度目。

しかし年季が入った建物や、常連のおじさん同士で楽しそうに

予想している姿をみると

『いかにもな昭和感』が体に染み渡り、昔から知っていたような

懐かしい気分になるのだ。





さてさて

今回の『競馬予想勝負』ルールを簡単に説明しますと


・軍資金は各自 3000円

・第2〜第7までの計6レースで勝負

・1レースに賭ける金額は自由

また、パスしてもOK。

・配当金−軍資金でもっとも多く稼いだ人が勝ち。


それに加え、最下位には屈辱の罰ゲームがあるとかないとか。

説明終わり!いざ尋常に勝負っ!



、、、と、その前にレース前のシンキングTIMEを利用し

カワウソは一人 売店を物色。





狙いは前回食べて美味しかった『焼きあんこ餅』

名物なのか何なのか、リーズナブルなお値段で

天ぷらやトウモロコシはもちろん餅やカレーパンまで

サービスで焼いてくれる。

なぜ、揚げたパンまで焼くのか?

目につくものは焼かねば気がすまない、

それが佐賀競馬場売店のSaGa(性)なのだろう。


今度、ジャガリコとかポッキーを焼いてくれるか挑戦するか。

肝心のあんこ餅は『暑いからやってない』だそうな。

気温は関係ない気もするがきっとそれが

佐賀競馬売店の、、、以下略。





買い出しもそこそこに戻ってみると尋常じゃないくらい

闘気をむき出しのラオウ
・・・いや、柳さんがいた。





あ、赤ペン!?

『やっぱこれっしょ。』

初めての佐賀競馬でも持参の赤ペンで勝負するこの男、

本気だ。

鬼気迫る勝負師の背中に声をかけるのも憚られる。

さわらぬラオウに剛掌波なし。

そっとしておこう。




隊長は、何か企んでるようにも見えるがいまいち

表情がよめない。

経験値では、二人には到底及ばない。

馬の血統や騎手の知識もない。


ではどうすれば勝てるか?




前回の低配当の単勝賭けによる爆死の経験を踏まえ

カワウソがとった奇策、名付けて『プクプク大作戦』

まず予想誌の◎とか▲とかマークが多い『こいつ強ぇんじゃね?』

と思える2頭をピックアップ。


次にマークがほぼない『ムリっしょ』な馬は無視。

そこに少しマークのある『あるかもよ』な馬を1頭選ぶ。

つまり『信頼度の高い2頭+波乱の1頭』

3連複の馬券を2〜3種類買う作戦だ。


6レースあるので1レース500円で割り振ることにした。

※3連複=順不問で上位3頭を当たればOK。


これならば『波乱の1頭』次第ではあるが10倍近い

配当も狙える。




無料解放されているクーラーの効いた部屋で観戦するかと

思いきや、隊長と柳さんは迷いなく最前線の灼熱地獄

へと旅立った。


そしてレースが始まった。


ビギナーズラックか、はたまたパチ屋で鍛えた勝負勘か

3レース目で100円が1500円になるミラクルが

舞い降りた。

いけるっ!いけるぞ、この作戦!

やっほい!今夜はごちそうだぃ!




と、浮かれたのも束の間。その後はさっぱり当たらない。

競馬はそんな甘いものじゃないようで。





最終レース直前。競馬対決順位

トップはまさかのわたくし、カワウソ。

次いで隊長、柳さん。トップとの差は1000円ほど

1レースでひっくり返る額だ。

しかも雑誌によると、最終のレース展開は『波乱』。

本命の信頼度が高くなく予想が難しいかわりに

高配当が期待できるという【何がおこるかわからない】

最終戦にふさわしいレースだ。

こればっかりは灼熱のアリーナ席で見届けねば

なるまいよ。


『あの黒い馬 鬣(たてがみ)が長く伸びてて

綺麗ですね。きっとメスにモテモテですよ』


呑気にスタート地点に向かう馬を眺めているカワウソとは

対照的に二人の目は、獲物を狙うスナイパーのように

鋭くギラついていた。

とくに柳さんはこのレースに3000円の軍資金とは別に

全財産をぶちこんだのか?
と思えるくらいの気合いと

覚悟が感じられた。

TVで見たようなスタート前の生演奏のファンファーレなどない。



事務的とも思えるくらい淡々とゲートにつく馬たち。

そして合図の旗が空を斬る。


※以下 柳さん



ドドド ドドド ドドド

よぉ〜し、いいぞ。

その調子、その調子。


ドドドド ドドド ドドドド

その位置でいいよ、その位置で。

いや、もうそのままでいい。

そ の ま ま で い い !


ドドドドド ドドドドド ドドドドド


そのままでいいって!

そのままっ! そのままっ!

そぉのぉむぁむぁあぁぁぁ!

あ“ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
     


















ドドド ド ド  ド   ド   ド

過ぎ去っていく地響き、歓声と溜め息 虚空を舞う砂塵。





フェンスにうなだれる柳さん。

その様子を動画に収め爆笑している隊長。

柳さんの夢を奪い、勝利をつかんだのは

予想誌がノーマークのレース前に見た美しいタテガミが印象的

あの黒馬だった。


当然3人とも賭けておらず最終レース勝者なし。

会場の雰囲気から察するにかなり『荒れた』

レースだったようだ。

悔しさを滲ませつつも、清々しい表情の柳さんは

引退試合の最終打席で、フルスイングで立ち向かった

野球選手のように見えた。



『いや〜、万馬券クラスの面白動画が撮れましたよ』


隊長は、最初から金額の勝ち負けよりプレイ日記のネタに

なるような『面白い何か』を求めていたのだろう。

一番楽しんだ人が勝ちならば、

真の勝者は隊長かもしれない。





結局、まぐれの3連複を1度当てたカワウソが逃げ切り優勝。

(1500円マイナスなので勝った気が全然しないが)




佐賀競馬場最後はマスコットキャラクターパッカル君との

記念撮影。.場内入り口近くで見つけると隊長&柳さんは

迷いなく突撃。

俺たちもうけっこうなおっさんだぜ?

そう言いかけた時には既にシャッターがきられていた。


『自分はいいッス。横のおねぇさんなら写真撮りたかった

ですけど』


佐賀競馬場に染まりきれない自分はまだまだ

修行が足りないようだ。

次回はパッカル君との距離を縮めよう。








時刻は14時過ぎ。競馬場から少し離れた佐賀県の名物でも

なんでもないカツ丼屋でちょっと遅めの昼食。

こうして今回の最大イベント【ロマンシング佐・賀競馬対決】

は幕を閉じた。



『夜まで何しましょうかね?』


『やりたいことがあるんでマリノア行きませんか?』


『カワウソさんにお任せします』




SEAMO featuring 長州小力【怒りの鉄槌】

BGMに西へ西へと走り出す。


次回 最終章


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